通勤には京阪電車を利用し、枚方市駅で下車する。市役所付近まで来るとスピーカーから大阪弁の歌が聞こえてくる。
♪〜アカンのにアカンのに タバコの吸い捨てアカンのに
だけど平気で捨てていく ほんとに困るヮこんなこと
やーめてんか止めてんか きれいな町が泣いている
きれいな・・・・
ここで曲は急にディミヌエンドしてナレーションが入る。
「こちらは枚方市です。この付近は歩きタバコ禁止となっています。皆さんのご協力をお願いします。」そしてまた「♪〜アカンのにアカンのに・・・」と始まり、これがエンドレスで続く。
ふと気がつくと、
左・右・左・右 と歩調が曲に合わさっているではないか。
♪〜アカンのにアカンのに〜
1・2・1・2・左・右・左・右・・・曲に合わせて足が反応している。
周りの人々を見渡してみると、曲に合わせて歩いている人なんて一人もいない。入場行進じゃあるまいし、曲にぴったり歩調が合っていることが妙に気持ち悪い。
そこで少し立ち止まったり、小走りになったり、歩幅を大きくとったりして曲から歩調を外そうと試みるのだが、何歩か後にはまた合ってしまう。他人から見れば「ヘンな人」と映り、社会的信用を失いかねない。
鎌田浩毅氏は彼の著書「ラクして効果が上がる理系仕事術」(PHP文庫)でこう言っている。
「バロックなどのクラシック音楽をかけながら熟考すると効果があるのは、耳とアタマがまったく別の作業をしているからである。アタマを意識的に働かしながら、耳ではちゃんと音楽を聴いているのだ。これが頭脳の働きを活性化させるのである。」
図書室で勉強している学生の中に、イヤホンで音楽を聴きながら勉強している学生をよく見かける。耳で音楽を聴いているがアタマは意識的に働かしており、頭脳の働きが活性化しているのだろう、たぶん。「バロックなどのクラシック音楽」ではないと思うが、たぶん。
「自己学習の時間も授業中と考えて、音楽を聴いたりしないで勉強しなさい。」と指導する教員がいるが、べつに他人に迷惑をかけているわけでないし、もしかしたら頭脳の働きが活性化しているのかもしれないので、それはそれでよいと私は思う。シャカシャカ音漏れしている場合にのみ注意することにしている。
鎌田浩毅氏は続けて「このときに、決して詩のある音楽をかけてはいけない。アタマが詩を追いかけてしまい逆効果になるからだ。また、構成の大がかりな交響曲もふさわしくない。曲の展開に気をとられてしまう恐れがある。それに対して、小さな編成の器楽曲がバックグラウンド・ミュージックとしてはもっとも適している。たとえばハイドン、モーツァルトの弦楽四重奏曲、ピアノソナタなどがお薦めである。」と言っている。
そのどおりだと思う。でも「♪アカンのに〜」に反応してしまう私は、ハイドン、モーツァルトの弦楽四重奏曲であっても、こんどは手が反応してしまうかもしれない。音楽に合わせて手を振り回すかもしれない。熟考には静かなのが一番、一番。
さて、あなたばBGM派?それとも静かなのが一番派?
なお、枚方市役所あたりで聞こえていた「♪〜アカンのにアカンのに〜」の歌とナレーションは今はもう流れない。どうしてなのか枚方市役所に勤務する知人にたずねてみた。近所の人々からクレームがあったらしい。「うるさいし、しつこいからやーめてんか」とのことだそうだ。
M.C.S.H
posted by 利用教育研究グループ at 11:57|
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